ショウガは香辛料として料理に広く用いられており、お菓子や飲料(ジンジャーエール)、キャンデー、酒類などにも用いられていて、多くの薬効をもつので、医食同源の代表的な食材と言えます。ショウガ(生姜)は漢方薬に使う場合はショウキョウ(生姜)を言います。同じ漢字でも、食品の場合と生薬の場合は呼び方が異なります。ショウガを蒸して加熱して乾燥して細かく刻んだものはカンキョウ(乾姜)という生薬になります。
ショウキョウは食欲を増進し、消化機能を高め、吐き気を止め、体を温めるなどの効果があり、多くの漢方薬に加えられます。カンキョウは体を温める効果が高くなります。
吐き気止め以外のショウガの薬効として以下のようなものがあります。
○ 健胃・整腸作用
ショウガは食欲増進作用があり、さらに胃腸の平滑筋へ作用して、胃の運動性を促進するとともに胃の痙攣を抑制する効果があります。脂溶成分にはセロトニン受容体拮抗作用があって、下痢を抑制する効果もあります。
動物実験において、エタノール、インドメタシン、アスピリンなどによる胃潰瘍の発生を予防する効果が報告されています。
○ 抗炎症作用・鎮痛作用
ショウガは炎症性のプロスタグランジン、トロンボキサン、およびロイコトリエンの合成を抑制する効果があります。関節炎や関節リュウマチの患者における臨床試験で、ショウガの服用によって、痛みの軽減、関節運動性の増加、朝のこわばりの減少が認められていいます。
鎮痛作用はショウガオールに痛みの伝達物質であるサブスタンスP放出を抑制する働きがあるためと言われています。ヒトの研究で、関節炎や頭痛などにも有効性が報告されています。
○ 抗酸化作用
抗酸化作用があり、食肉製品の腐敗防止や肉の賞味期限を延ばす効果が知られています。
○ がん予防効果
ショウガの抗炎症作用や抗酸化作用はがん予防効果との関連も指摘されています。米国のデザイナーズフーズ計画では、ショウガはニンニクなどと並んでがん予防効果のある食品のトップに位置づけられています。
○ 抗動脈硬化作用
ショウガは血小板トロンボキサン産生を抑え、血小板の凝集を抑える効果があります。ショウガの水エキスにはニンニクやタマネギの水エキスよりも強力な血小板凝集抑制作用があると言われています。
さらに、コレステロール吸収を阻害し、胆汁酸合成の律速酵素であるコレステロール-7-α水酸化酵素を刺激します。ショウガは胆汁分泌を増加させる効果があります。したがって、ショウガは排泄を促進し、吸収を阻害することでコレステロールを低減させます。
血小板凝集抑制とコレステロール低下作用は、動脈硬化を予防する効果になります。
○ 熱産生作用
体を温める効果があり、昔から発汗剤として用いられてきました。ジンゲロールは、ショウガの最も強力な熱産生成分と考えられています。冷えを改善する効果があります。
○ 抗菌作用
様々な病原菌に対して抗菌作用があります
図:ショウガ(生姜)は漢方で生薬として使う時はショウキョウ(生姜)という。ショウガは食品や香辛料として使われるだけでなく、様々な薬効を利用して漢方薬やサプリメントとしても使用頻度が高い。がん治療にも役立つ効能を多くもっている。ショウガは加工の違いによってショウキョウ(生姜)とカンキョウ(乾姜)という薬効の異なる2種類の生薬になる。